二分冊小説奇譚
世の中には上下巻になっている小説というのはいろいろありますが、そこにある種のギミックのために分冊された小説といのも存在します。
成田良悟さんの「バッカーノ! 1931」は鈍行編と特急編の二分冊になっています。
鈍行編で描かれたフライングプッシーフット号での事件の裏側が特急編で描かれます。
この構成がかなりおもしろくて好きなわけですが。
「1931」の事件をコピーキャットという謎の人物が再現しようとした話が「2002」AsideとBsideですが、こちらはBsideが解決編になってボリュームがふくらんでいるので二分冊にした意味があまりないような気がします。
むしろ「1934」みたいに完結編を別にして3分冊にしたほうがよかったような。
まあそれだと読者のサイフが悲鳴をあげるかもしれませんが(笑)
もうひとつ上下二分冊にして凄いなぁと思ったのが太田忠司さんの「銀扇座事件」
狩野俊介シリーズの一編です。
ただこのシリーズをそれまで何冊か読んできた人でないとわからないギミックですが。
このシリーズに親しんできた人には上巻を読んでいて何か違和感を感じる時があり、あのラストシーンで「そんなバカな」と驚かされます。
私の知人など上巻を読み終わった段階で「こんなバカな話はない。もう下巻なんてどうでもいい。作者に抗議する」とまで言わせたほどでした。
そして下巻を読み進み作者の仕掛けたトリックにしてやられたことに気付くわけです。
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